「ハコバン70's」稲垣潤一著を読んだ。

とある人の薦めで手にした本書。
“ハコバン”というのは 音楽業界用語で、
飲み屋やダンスホールやディスコなど、演奏をするお店のことを“ハコ”と呼んで、
そのお店についているバンドのことを省略して“ハコバン”という。
最近はめっきりこのスタイルは減ったけれど、1980年代までは日本中の繁華街にそういうバンドを抱えるお店があった。
そして著者は稲垣潤一。
1960+世代なら、「クリスマスキャロルの頃には」や「ドラマティック・レイン」などのヒット曲と、
ドラムを叩きながら歌う姿が思い浮かぶだろう。
本書は1953年生まれ、61歳の稲垣潤一の自伝である。
書き出しは2011年3月11日の東京から始まる。
彼は仙台市の出身なのである。
未曾有の惨事となったあの震災を東京で体験した著書が、
高校を卒業してハコバンのドラマーとなり、やがて歌も歌いながら数々のバンドを経て29歳でデビュー。
そのミュージシャンとしては極めて遅咲きだった苦難の道のりを、デビュー35周年で還暦を迎えた2013年に自ら書いている。

玉下とは7歳違いとはいえ、
随所に盛り込まれる音楽や映画の話題は共通体験である。
キャンディーズが解散したり長嶋茂雄が引退したり、ビリー・ジョエルやスティービー・ワンダーがヒットしたり、
「宮城県沖地震」も彼のデビュー前に仙台で遭遇している。
玉下は稲垣潤一の熱狂的なファンではない。
それでも本書を面白く読めたのは、東京と仙台の違いや体験している年齢の違いを越えて、
同じ事件や音楽や映画の体験を共有できていたからであり、次元や才能は雲泥の差があるけれど、
玉下も学生時代に少しだけミュージシャンを目指していたから…。
稲垣潤一と同い年の甲斐よしひろが既にデビューをしていて、
仙台で稲垣に「いい声だね、デビューできるよ」と声をかけていた。
こんなにちょっとしたエピソードも、微笑ましい。
【本日の一曲】 「クリスマスキャロルの頃には」 by 稲垣潤一
いやぁ、バブルの頃だなぁ…。
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この記事へのコメント
うさまゆさん、そうなんです。
ライブを拝見しても、姿勢は良いは声は出てるは…。
とても還暦越えとはおもえません。
ちなみに長谷川きよしにも、ユーミンが書いた「美しい日々」という、
若きシャガールをテーマにした曲があります。
ピカソだと歌にしにくいけど、
シャガールは何か歌を作りたくなる物語性があるのでしょうか?
ライブを拝見しても、姿勢は良いは声は出てるは…。
とても還暦越えとはおもえません。
ちなみに長谷川きよしにも、ユーミンが書いた「美しい日々」という、
若きシャガールをテーマにした曲があります。
ピカソだと歌にしにくいけど、
シャガールは何か歌を作りたくなる物語性があるのでしょうか?
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- うさまゆ - 2015年07月06日 07:55:29
あらためて振り返ってみると色々ヒット曲出されていらっしゃるんですね。
中でも私は
「ロング・バージョン」
という曲で“シャガール”を知ったのがちょっとした思い出です。