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袖振り合わなかった後悔

名古屋に向かう新幹線は思いのほか混んでいて、僕の指定席は3人掛けの一番窓側だった。
これではトイレにも喫煙ブースにも行きにくい。
ならば寝るか、本を読むか。

手持ちの文庫本を貪るように(面白いから一心不乱に)読んでいたのだが、
ふと、すぐ隣の席の男性が気になった。
歳の頃なら40前後。隣の女性との2人連れ。
はじめは仕事の話をしていたが、(女性の声がデカくて・・・笑)
気がついたときには会話も途絶えていて、その男性も文庫本を読んでいた。
彼のページを繰るスピードや読書の姿勢というか、雰囲気というか、
集中の仕方のようなものが僕とそっくりな気がしたのだ。

もしや、いや、まさか・・・そんな偶然、あるわけない・・・

ちらりと彼が開いている文庫本を覗いてみた。(失礼!)

やはり!
それは北方謙三の『水滸伝』だった。
目に入った数少ない単語(人名)から推察するに8巻あたりか。
おおお、同志よ!と声を掛け、水滸伝談義の花を咲かせたい!と思ったが、
元来、ナンパすらできないほど他人に声をかけることができないたちもあって、
ぐっと堪えて自らの文庫本『楊令伝』に戻ったのだった。

楊令伝11

このブログでも何回か紹介したけど、北方謙三の『水滸伝』は全19巻。
その続編である『楊令伝』は全15巻。
北方「大水滸」シリーズはいまだ執筆が続いていて、女性ファンも多いらしい。

僕は『水滸伝』は5~6回くらい読み返したと思うが、『楊令伝』は、2度目。
  (理由は詳しくは書かないけど『楊令伝』は避けていた。)
再読を開始して、やはり面白いぞ、北方謙三恐るべし!の状態だった。

隣の男性が読む『水滸伝』は中盤に差し掛かり、梁山泊の漢(おとこ)どもの大活躍が本格化しているころ。
おそらく、なんだこれが水滸伝なのか、うむむ北方謙三恐るべし!状態の真っ只中だったと推察する。

ああ、やはり袖振り合うのも多生の縁と、話しかければよかったのかなぁ・・・
彼の感想を聞いてみたかったぞ。


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スライド3  wrote by 1961_TM ブログランキング・にほんブログ村へ ブログランキング

この記事へのコメント

- - 2014年10月26日 10:54:02

心中察します!!


ちなみに多少じゃなくて多生の縁です…。

匿名さまへ - 1961_TM - 2014年10月26日 16:45:18

匿名さま、ありがとうございます。
「多生の縁」に訂正しました!

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3.小李富(編集担当 旧名1961_TM)
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