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「点と線」、何故か今さら…。

活字離れ…、なんてブログで書いてしまったからではないですが、
少し意図的にアクセルを踏む様にしていたら、
偶然にもこの本に出会いました。

学生時代から古本屋さんや中古レコード屋さんへ良く行っていました。
新刊の書店などと違い、偶然の出会いで本やレコードを購入するのが、
経済面での理由と同じくらい魅力的だと感じているからです。
縁があるから出会うし、縁が薄ければ出会っても買わないし、
※値段が高くて買わない、という場合もしばしばありますが…。
だから往々にして今でもどこでいつ頃に出会ったか覚えていたりします。
これが紀伊國屋さんとかTower Recordsとかだと、少し希薄ですね。

閑話休題。



「点と線」とは大阪モノレールの駅文庫で出会いました。

大阪モノレール駅文庫

乗降客が自由に本を置いたり持っていく仕組みです。
さすがに読了後は大阪へ返しに行けませんが、
代わりに都内の同じ様な駅文庫へ置いておきます。

ちょっと帰りの新幹線+αで読めそうな分量と、
名著の誉れ高い松本清張氏の推理小説なのに、縁がなく未読だったんです。

東京駅13番線

東京駅の13番線ホームで起きるホンの四分間の運行の間隙。
この場面を起点に繰り広げられる様々なドラマ。
夫婦の愛憎、社会での出世、職場での信頼、親子の機微…。
こういう人間的な横糸を織り交ぜながら、
時刻表トリックの先駆けとも言える緻密な犯罪が、
警視庁の若手刑事と福岡の老刑事という離れた環境の二人によって、
少しずつ解き明かされていく。
そして全てが解決されたにもかかわらず、読了後の気分は晴れない。
割り切れない感情を読者に植え付けてしまう展開は、
丸で現代社会の日常を描いている気がした。
※毎日、仕事を完了して晴れ晴れと帰宅するより、
  ああ、電車がなくなるから帰らなきゃ…、とか、
  ああ、もう体力的に限界だから帰らなきゃ…、みたいな感じです。

実際に読みながら思ったのは、時代背景のギャップ。
赤坂の料亭で役人を接待する個人商店経営者が30代だったり、
その奥さんが病気療養で鎌倉に女中さんと暮らしていたり、
基本的な移動は電車や船が前提になっていて、緊急の連絡も電報が使われている。
今の時代ならE.メールや携帯電話やGPSや街中の監視カメラや、
はたまたSuicaをはじめとする電子マネーでの個人情報ダダ漏れなど、
「点と線」で繰り広げらてているプロットは成立しない。

でも恐らく松本清張氏が今も現役であったら、
こういう現代のITシステムの盲点をついたプロットを考えつくんだろう。
そして大切なのは、推理小説の肝であるトリックではなく、
ちゃんとその背景にある人間模様を描き混んでいることだと思います。

何故、犯人は犯罪を犯すのか?追い詰める刑事はどんな人物か?
上司は?同僚は?彼らは何を食べ、何を見て、何を考えいるのか?
此処がシッカリと描かれているから、恐らく「点と線」は名著なんでしょう。

さてさて、活字離れに対するリハビリは続きます。
晴れ晴れと小説の世界に没入出来る精神状態になりたい。

次は雑誌「danchu」のカツサンド特集です。


【本日の一曲】 「砂の器」 by 芥川也寸志


ん~、ランシンさんと玉下が大好きな映画です。
重いけど…。


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スライド3  wrote by 玉下奴郎 ブログランキング・にほんブログ村へ ブログランキング

この記事へのコメント

- takako.t.maru - 2014年09月25日 02:36:58

本を読んで刺激を受けて、その時は確かに何か考えたはずだったのに、
いつの間にか、忘れてしまう。はて、何を感じたんだっけ・・?
それが、「点と線」や「砂の器」など、映像になっているものだと、
頭の中にクッキリ残っているのですね。
それがいいか悪いかはわからないけれど、映像は確かに強い。
子どもの頃、好きで何回も読んだ本は、その挿絵で頭の中に刻み込まれている。
本を読んでも、その意味する所が身に染み込むまでの時間がかかるようになってしまった。老化でしょうか。感受性の欠如でしょうか。理解力の低下でしょうか。
まともな勉学というものが、この頭でできるのだろうか、と不安になる昨今です。

- 玉下奴郎 - 2014年09月25日 08:01:22

takako. t. maru様

まともな勉学ができるのだろうか、
と不安に感じるうちは全く問題ないと思います。
忘却や喪失も年齢と共に必要な現象と受け止める様になりました。


玉下奴郎拝

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