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解説を解説したくはないけれど

猛烈に残念。腹立たしい。
それは、北方謙三『史記』文庫版、最終巻である7巻の解説。



とあるコンサルティング会社の取締役会長が解説を書いているのだが、これはひどい。過去最悪の解説だった。

史記の解説


待ちに待った文庫最終巻を読み終えた満足感の余韻にひたり、
また違った角度からの読み方などを示してくれるのを楽しみに解説を読み始めたのだが・・・

まずカタカナ、つまり流行っぽい外来語が多い。
『史記』は中国の武帝を描いた歴史小説だから、カタカナがまったくない。
しかも、ますます削ぎ落とされた「北方調」と呼ぶべき乾いた無駄のない文体に終始しているから、
これは解説者にとっては不利な条件だったかもしれない。

解説者は、コンサルティング会社の経営者として、この『史記』を現代のビジネスシーンになぞらえていくのだが、
さらには自分の会社の宣伝臭がぷんぷんしているのだ。

少し引用すると
「●●●(会社名)は、営業課題解決のためのコンサルティングと人材育成のための研修を企業向けに行っている。そのため最近は、リーダーシップやチームビルディングに関する本をよく読む傾向にあるが、そういう観点から読んでも「『史記武帝記』はとてもためになる。」

溜息しか出ない・・・

経営層向けの雑誌やビジネス書には、歴史上の人物の行動から学ぼう的な内容が多い。
それはそれで面白いこともあるけど、僕はあまりにも無理矢理現代に当てはめようとするのは好きではない。
特にこの北方『史記』でリーダーシップ論を語るのは無理やりなんてレベルをはるかに超え、滑稽ですらある。

僕は毒舌の傾向は多分にあるが、悪口は好きではないが、
この解説だけは、ほんとうに許し難い、いや、許せない。
僕の「北方中国史小説の同志」は、数行で読むのをやめたというが然りである。

北方中国史シリーズはぜひとも多くの人に読んでほしいが、この解説だけは避けることをおすすめします。はい。


お口直しは、この一冊。
村上龍の『55歳からのハローライフ』。



巻末の解説は、バークレイズ証券の北野一(きたの はじめ)氏。
肩書を見て、『史記』の悪夢がよぎったが、この解説は素晴らしかった。ぜひご一読あれ。


・・・やれやれ、本の中身に一切触れなかったよ・・・

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スライド3  wrote by 1961_TM
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この記事へのコメント

あるある - ゆう。 - 2014年05月28日 20:05:20

はぢめましてのコメントがコレなのもなんだけど

ありますよね ときに残念な解説文(笑)

ゆうさんへ - 1961_TM - 2014年05月28日 20:32:22

ゆうさん、こんばんは。
こういうコメント、大歓迎です(笑)
残念な解説、教えてください!
これからもよろしくお願いします。

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