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続・3月の読書。「フラニーとズーイ」「満月、空に満月」「さらば雑司ヶ谷」。

  

先ずは訂正。一連のブログのシリーズ表題に“3月の”と書いているけど、これは“最近の”の誤りですね。
これからの二冊を読んだのは、明らかに今月です。
でも気分的には3月を引きずっていました。

薄い文庫本にもかかわらず読了に約一ヶ月を要した「フラニー…」から解放される直前、
偶然にもAmazonの書評で出会ったのが「満月、空に満月」でした。


海老沢泰久が書いた、井上陽水の自伝ドキュメンタリーです。
でも何故かこの本は絶版になっている様で、中古で20円でした。(送料が200円くらい)

元々、井上陽水は好きなアーティストでレコードを何枚か持っている。
CDはベスト盤しか買っていないけど、
日本で初めて100万枚の売り上げを達成した名作「氷の世界」も、
作品としては愛聴しているけど、詳しい制作の経緯は知らない。
そもそも彼の生い立ちやデビューのいきさつも、なんとなく最初は“アンドレ・カンドレ”っていう名前だった、
くらいしか知らなかった。

まぁ安い古本だし、見つけたのも何かの縁だし、この出会いは必然だ。
別に2万円の買い物をするわけでもないのに、夜中に酔ったアタマで自分を納得させてクリック!

これが面白かった!

彼が筑豊の炭鉱町で姉と妹に挟まれて一人息子として生まれ、
父親が歯医者だったので必然的に跡継ぎになる期待を背負っていた。
周りの友達は廃坑で次々と離村して行ったけど、父親はお金がない患者でもちゃんと治療をしていた…。
歯科大を目指して博多で浪人生活をしていた頃、麻雀とパチンコに明け暮れて三浪に突入してしまった…。

流石に此処で彼の細かい生い立ちを書くつもりはないけど、
伝えたいのは文体なんです。

もちろん根本的に井上陽水に興味があったし、
かなり面白い波乱万丈な半生を送って成功をつかんだ話だけど、読み進んでいるうちに、文体を意識し始めました。
厳密に言うと作家の視点も含めた文体ですね。

こういう伝記ものは、如何に主人公との距離を取るかで印象が変わります。
中には本人が書いたが如くゴースト・ライターが書く場合もあるけど、
海老沢氏はつかず離れずの距離感で、本人の発言も適度に交え、
取材をした当時の関係者の発言も適度に交え、それでいて自分の主観や推測も断りを入れて書いている。

年末にNHKで放送された「氷の世界」の制作ドキュメンタリーがあり、
今月はBS放送で倉本聰の対談番組で井上陽水が4回に渡って半生を語っている。
「氷の世界」全曲を披露する全国ツアーも始まった。

玉下の中で、ちょっとした井上陽水ブームである。
そういえばこのアルバム、レコードは持ってるけどCDはないんだよなぁ。
でも“聴くぞぉ”って気分の時はいつも夜中だから、レコードがいいんだよなぁ。

おっと、文体つながりで次回は小説「さらば雑司ヶ谷」です。
これも「満月、空に満月」を読み終わる頃に偶然に出会ったんです。


【本日の一曲】 「帰れない二人」by 井上陽水


忌野清志郎と一緒に陽水の部屋でお互いに一行くらいづつ詞も曲も作ったらしいです。
初期のレノン=マッカートニーみたいな作り方。
「氷の世界」に収録されている美しすぎる名作です。
映像はライブのドキュメンタリーなので、曲だけをお聴きになりたい方は4'30"くらいからご覧ください。

■3月の読書。「フラニーとズーイ」「満月、空に満月」「さらば雑司ヶ谷」。
■3月の読書。「フラニーとズーイ」の続き…。文体。

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管理人のみ閲覧できます - - 2014年04月22日 13:01:40

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