映画『永遠の0』を100倍楽しむには…。
年末から正月にかけての映画業界、相変わらず東宝の独り勝ちらしい。
人間の心理には、売れているから話題になる~話題になるから更に売れる…
という構図がある。
もちろん、売れているから、話題になっているから接しないという人もいるけど。
ちなみに玉下は『あまちゃん』を観ていないし、『タイタニック』も未見です。
お正月、テレ朝の大量宣伝を受けて公開された『トリック』。
なんと公開初週に一位を獲れなかった。
迎え撃ったのは同じく東宝の昨年から公開している『永遠の0』。
個人的には20歳から主役を演じている仲間由紀恵さんが好きなので、
『トリック』に勝って欲しかったのに…。(そう思いながら未見ですが)
閑話休題。『永遠の0』である。
2006年に出版され、昨年迄で450万部を超えた小説『永遠の0』。


この話題作を見事に映画化したのは『ALWAYS三丁目の夕日』で昭和33年の東京を描いた山崎貴監督。
市井の人間を丁寧に描いた『ALWAYS…』が大ヒットした魅力のひとつに、
東京オリンピック前夜の町並みを再現したVFX (視覚効果) がある。
監督がVFXを駆使して表現したのは、当時の下町風景。
一見するとどこにCGが使われているのかわからない、
ロケやセットでの撮影と思わせる自然な町並をVFXで作り上げた。
『永遠の0』でも零戦の空中戦や洋上の航空母艦はもとより、焼け野原の大阪の再現にもVFXが使われている。
『ALWAYS…』では建設途上の東京タワーが、
戦後復興で高度経済成長を遂げる日本の象徴としてVFXによって描かれていた。
しかし映画で大切なのはVFXや3Dなどの特殊技術ではない。
『ALWAYS…』に出てきた建設中の東京タワーをセットでは描けないのと同様に、
市井に暮らす人々の心の機微はVFXでは描けない。
『ALWAYS…』でも『永遠の0』でも、監督が拘っているのは共に“個人の物語”であって、
VFXは物語を描くための黒子に徹している。
※VFX=ビジュアル エフェクツの略称で、特殊映像効果を得るための技術

一方、本作は昨年急逝した名優、夏八木勲の遺作となった。
彼が演じたのは生き残りの特攻隊員。
国の為に死ぬことを覚悟したにもかかわらず、
思わぬ出来事で生を得てしまったジレンマを抱え生き続けている苦悩を、ふとした表情やセリフでさりげなく表現する。
その夏八木が40歳の時、朋友の千葉真一と共演した『戦国自衛隊』では、
タイムスリップした自衛隊を受け入れる戦国武将の胆力を見事に演じていた。
近代兵器で武装した自衛隊員を率いる隊長(千葉)を、
後に上杉謙信となる景虎(夏八木)は初めて会った瞬間に気に入り仲間に引き入れる。
人格を持った人間の戦いとして描いた戦闘場面は、
『永遠の0』で主人公が生きて帰国する事に異様に拘る背景に通じる。
戦っている一人一人に人格があり、生還を待つ家族がいる。
戦争での死者は何十万人という数字でしか記録されないが、
そこで戦っている者全員にはそれぞれ“個人の物語”がある。
きっと観客はその死に接して涙するのだろう。
夏八木本人は『永遠の0』が遺作となる覚悟はなかったかもしれない。
だが観ている側としては、彼がそれなりの自覚を持って演じていたのではないかと思うと、
その一挙手一投足に注目してしまう。
その点では主演の千葉真一以上の存在感があった『戦国自衛隊』同様、
『永遠の0』では主役の岡田准一以上に印象に残る演技を見せてくれている。
カテゴリー
wrote by 玉下奴郎
人間の心理には、売れているから話題になる~話題になるから更に売れる…
という構図がある。
もちろん、売れているから、話題になっているから接しないという人もいるけど。
ちなみに玉下は『あまちゃん』を観ていないし、『タイタニック』も未見です。
お正月、テレ朝の大量宣伝を受けて公開された『トリック』。
なんと公開初週に一位を獲れなかった。
迎え撃ったのは同じく東宝の昨年から公開している『永遠の0』。
個人的には20歳から主役を演じている仲間由紀恵さんが好きなので、
『トリック』に勝って欲しかったのに…。(そう思いながら未見ですが)
閑話休題。『永遠の0』である。
2006年に出版され、昨年迄で450万部を超えた小説『永遠の0』。
この話題作を見事に映画化したのは『ALWAYS三丁目の夕日』で昭和33年の東京を描いた山崎貴監督。
市井の人間を丁寧に描いた『ALWAYS…』が大ヒットした魅力のひとつに、
東京オリンピック前夜の町並みを再現したVFX (視覚効果) がある。
監督がVFXを駆使して表現したのは、当時の下町風景。
一見するとどこにCGが使われているのかわからない、
ロケやセットでの撮影と思わせる自然な町並をVFXで作り上げた。
『永遠の0』でも零戦の空中戦や洋上の航空母艦はもとより、焼け野原の大阪の再現にもVFXが使われている。
『ALWAYS…』では建設途上の東京タワーが、
戦後復興で高度経済成長を遂げる日本の象徴としてVFXによって描かれていた。
しかし映画で大切なのはVFXや3Dなどの特殊技術ではない。
『ALWAYS…』に出てきた建設中の東京タワーをセットでは描けないのと同様に、
市井に暮らす人々の心の機微はVFXでは描けない。
『ALWAYS…』でも『永遠の0』でも、監督が拘っているのは共に“個人の物語”であって、
VFXは物語を描くための黒子に徹している。
※VFX=ビジュアル エフェクツの略称で、特殊映像効果を得るための技術

一方、本作は昨年急逝した名優、夏八木勲の遺作となった。
彼が演じたのは生き残りの特攻隊員。
国の為に死ぬことを覚悟したにもかかわらず、
思わぬ出来事で生を得てしまったジレンマを抱え生き続けている苦悩を、ふとした表情やセリフでさりげなく表現する。
その夏八木が40歳の時、朋友の千葉真一と共演した『戦国自衛隊』では、
タイムスリップした自衛隊を受け入れる戦国武将の胆力を見事に演じていた。
近代兵器で武装した自衛隊員を率いる隊長(千葉)を、
後に上杉謙信となる景虎(夏八木)は初めて会った瞬間に気に入り仲間に引き入れる。
人格を持った人間の戦いとして描いた戦闘場面は、
『永遠の0』で主人公が生きて帰国する事に異様に拘る背景に通じる。
戦っている一人一人に人格があり、生還を待つ家族がいる。
戦争での死者は何十万人という数字でしか記録されないが、
そこで戦っている者全員にはそれぞれ“個人の物語”がある。
きっと観客はその死に接して涙するのだろう。
夏八木本人は『永遠の0』が遺作となる覚悟はなかったかもしれない。
だが観ている側としては、彼がそれなりの自覚を持って演じていたのではないかと思うと、
その一挙手一投足に注目してしまう。
その点では主演の千葉真一以上の存在感があった『戦国自衛隊』同様、
『永遠の0』では主役の岡田准一以上に印象に残る演技を見せてくれている。
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