床屋のホスピタリティ
歳を重ねると髪質は変わってくるものらしい。
ねこっ毛、超ストレートだった僕の髪は、少しずつウェイブがかかってきた。
かっこいいウェイブならいいのだが、前髪の長いところだけが、クリリンと曲がってきて、
なんとなくチャップリンの時代の喜劇役者(それも情けないタイプの)ようで、鏡を見るたびにがっくりとする。
今日もそのクリリンを見て、切るべし、と思い立った。
行ったのは、徒歩2分の美容院。
美容院といっても、カット税込980円という激安、スーパーカット的美容院である。
家を出てから、帰ってくるまでの所要時間は20分弱。激早でもある。
働いているのは、近所のパート主婦たち。
おそらく美容師または理容師の免許を持ちながら、主婦となって「引退」していたであろう彼女たちを
「激安」で雇っているのではなかろうか。
すんごいカラーとカールを施している美魔女(?)から、ごくフツーの主婦的おばちゃんまで、年齢も容姿もまちまち。
今日はどの人に切ってもらえるのかとドキドキする(笑)
もともと髪型にこだわりがあるわけではないが、床屋は好きだ。

髪をいじってもらうだけで気持ちいいのに、丁寧に洗ってもらったり、
顔をあたってもらうのも気持ちがいいし、おまけに頭皮、肩、首のマッサージまでしてもらうと、もうヘロヘロなのだ。
そのへんの床屋のホスピタリティについては、村上春樹がたびたびエッセイに書いていて、
読むたびに、ふむふむと肯いていたものだった。
千駄ヶ谷の床屋に通った話も有名だけど、
プリンストン大学の2年間を書いた『やがて哀しき外国語』の中にある日米の床屋の違いも面白かったね。


村上春樹ほどのこだわりはないけど、僕は1年ほど前から、近所にできたその激安系美容院に通うようになった。
早い安いというのはもちろんだが、不要な会話がないのがいい。
「どのくらい切りますか?」だけで済む。
村上春樹も、床屋での会話に対するこだわりを書いているが、
「今日は天気が・・・」とか「お休みなんですか?」とか、そういう類の会話が一切ないのが安心する。
ちなみにその前に通っていた床屋さんがどういうところだったかというと、
街のちょっとおしゃれでこだわりがありそうな床屋さんだった。(あくまで「ありそうな」レベル)
ご主人の腕とホスピタリティが気に入って通っていたのだが、やたらと「毛穴拡大鏡」のようなものを取り出して、
シャンプーや育毛についての講釈が多くなったことに辟易してきたこと。
そしてある時に、ご主人ではなく、その奥さんに切ってもらってから世界はさらに一変した。
以来、何度が行ったが、なぜか奥さんが僕の「担当」になってしまったらしく、
ご主人が空いていても、奥さんしか切ってくれなくなってしまった。
「●●ちゃん(うちの息子)と、幼稚園が同級だったんですよ」から始まって、まあ話すこと話すこと。
おまけに、サービスのつもりか(?)胸がボヨヨンと当たる回数が増えてきた。
落ち着いていられるわけがない。
うむむ、困った、どこ行こう?というときに、くだんの激安美容室ができたのだ。
期待せずに行ってみて、
その「床屋らしいホスピタリティ」がまったくないという「ホスピタリティ」に惚れて通うことになった。
何度も言うけど、僕は髪型にはこだわらない。
切り終わった後に、鏡で後ろ頭を写されても、ほとんど見ないで、「ありがとうございました」だもの。
【本日の一曲】 「Don't Look Back」 Boston
ダジャレ的に思い出した曲。
ツイン・リードギターといえば、この曲。いま聴いても、かっこええのぉ。
しかしこの映像、ライヴなのに、ほとんど録音と変わらないね。
カテゴリー
wrote by 1961_TM
【編集人よりお願い】 1960+3人、拍手&コメントを励みにしています。どうぞよろしくお願いします。
ねこっ毛、超ストレートだった僕の髪は、少しずつウェイブがかかってきた。
かっこいいウェイブならいいのだが、前髪の長いところだけが、クリリンと曲がってきて、
なんとなくチャップリンの時代の喜劇役者(それも情けないタイプの)ようで、鏡を見るたびにがっくりとする。
今日もそのクリリンを見て、切るべし、と思い立った。
行ったのは、徒歩2分の美容院。
美容院といっても、カット税込980円という激安、スーパーカット的美容院である。
家を出てから、帰ってくるまでの所要時間は20分弱。激早でもある。
働いているのは、近所のパート主婦たち。
おそらく美容師または理容師の免許を持ちながら、主婦となって「引退」していたであろう彼女たちを
「激安」で雇っているのではなかろうか。
すんごいカラーとカールを施している美魔女(?)から、ごくフツーの主婦的おばちゃんまで、年齢も容姿もまちまち。
今日はどの人に切ってもらえるのかとドキドキする(笑)
もともと髪型にこだわりがあるわけではないが、床屋は好きだ。

髪をいじってもらうだけで気持ちいいのに、丁寧に洗ってもらったり、
顔をあたってもらうのも気持ちがいいし、おまけに頭皮、肩、首のマッサージまでしてもらうと、もうヘロヘロなのだ。
そのへんの床屋のホスピタリティについては、村上春樹がたびたびエッセイに書いていて、
読むたびに、ふむふむと肯いていたものだった。
千駄ヶ谷の床屋に通った話も有名だけど、
プリンストン大学の2年間を書いた『やがて哀しき外国語』の中にある日米の床屋の違いも面白かったね。
村上春樹ほどのこだわりはないけど、僕は1年ほど前から、近所にできたその激安系美容院に通うようになった。
早い安いというのはもちろんだが、不要な会話がないのがいい。
「どのくらい切りますか?」だけで済む。
村上春樹も、床屋での会話に対するこだわりを書いているが、
「今日は天気が・・・」とか「お休みなんですか?」とか、そういう類の会話が一切ないのが安心する。
ちなみにその前に通っていた床屋さんがどういうところだったかというと、
街のちょっとおしゃれでこだわりがありそうな床屋さんだった。(あくまで「ありそうな」レベル)
ご主人の腕とホスピタリティが気に入って通っていたのだが、やたらと「毛穴拡大鏡」のようなものを取り出して、
シャンプーや育毛についての講釈が多くなったことに辟易してきたこと。
そしてある時に、ご主人ではなく、その奥さんに切ってもらってから世界はさらに一変した。
以来、何度が行ったが、なぜか奥さんが僕の「担当」になってしまったらしく、
ご主人が空いていても、奥さんしか切ってくれなくなってしまった。
「●●ちゃん(うちの息子)と、幼稚園が同級だったんですよ」から始まって、まあ話すこと話すこと。
おまけに、サービスのつもりか(?)胸がボヨヨンと当たる回数が増えてきた。
落ち着いていられるわけがない。
うむむ、困った、どこ行こう?というときに、くだんの激安美容室ができたのだ。
期待せずに行ってみて、
その「床屋らしいホスピタリティ」がまったくないという「ホスピタリティ」に惚れて通うことになった。
何度も言うけど、僕は髪型にはこだわらない。
切り終わった後に、鏡で後ろ頭を写されても、ほとんど見ないで、「ありがとうございました」だもの。
【本日の一曲】 「Don't Look Back」 Boston
ダジャレ的に思い出した曲。
ツイン・リードギターといえば、この曲。いま聴いても、かっこええのぉ。
しかしこの映像、ライヴなのに、ほとんど録音と変わらないね。
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【編集人よりお願い】 1960+3人、拍手&コメントを励みにしています。どうぞよろしくお願いします。




この記事へのコメント
花ばあばさん、こんにちは。
そうですか、男女問わず髪質って変わるのですね。
楽になるのならいいんですけど・・・(笑)
そうですか、男女問わず髪質って変わるのですね。
楽になるのならいいんですけど・・・(笑)
え?髪質が変わるのは「年齢」のせい?
私も2~3年前から髪にウエーブが出るようになりました。
湿気の多い日にはパーマをかけたように「くるくる」に…。
ぺっちゃんこになるよりはいっか~、なんて気楽に
考えてたんだけど、「年齢」のせい…?
ちょっぴりショック…
。
私も2~3年前から髪にウエーブが出るようになりました。
湿気の多い日にはパーマをかけたように「くるくる」に…。
ぺっちゃんこになるよりはいっか~、なんて気楽に
考えてたんだけど、「年齢」のせい…?
ちょっぴりショック…

美容院での会話の件、妙にナットク。
こちらの気分次第で話したくない日もある訳ですが
前回の私のテンションを思い出されて、そこに持って行かれると
『今日は違うんだよな〜』と。
あと、今日は前髪カットだけ〜と思って店に行くものの
『カラーは?トリートメントは?』とお勧めされちゃうと
小心者の私は『じゃぁ』となってしまう。
サービス業ってお客の方も対応が難しいと思う今日このごろです。
こちらの気分次第で話したくない日もある訳ですが
前回の私のテンションを思い出されて、そこに持って行かれると
『今日は違うんだよな〜』と。
あと、今日は前髪カットだけ〜と思って店に行くものの
『カラーは?トリートメントは?』とお勧めされちゃうと
小心者の私は『じゃぁ』となってしまう。
サービス業ってお客の方も対応が難しいと思う今日このごろです。
HANA615さん、こんばんは。
HANA615さんもそうなんですか!
くるくるだったら、かわいいからいいと思います!
HANA615さんもそうなんですか!
くるくるだったら、かわいいからいいと思います!
kayさん、こんばんは。
うーむ、お客さんのテンションを読む・・・サービス業として、とても大事なことですけど、とても難しいことですね。
日々刻々と変わる心に対応する・・・慣れ親しんだ夫婦でも無理かもしれないほど高度かも(爆)
うーむ、お客さんのテンションを読む・・・サービス業として、とても大事なことですけど、とても難しいことですね。
日々刻々と変わる心に対応する・・・慣れ親しんだ夫婦でも無理かもしれないほど高度かも(爆)
あ~、よくわかります!!
お金を払っているのに、気を遣っておしゃべりをしなきゃならないなんて、しんどいですよね~!!
自分のことをしゃべりだす美容師は、耐えられません!!
興味ないですからね~~!
お金を払っているのに、気を遣っておしゃべりをしなきゃならないなんて、しんどいですよね~!!
自分のことをしゃべりだす美容師は、耐えられません!!
興味ないですからね~~!
ブラックまいまいさん、こんばんは。
やはり苦痛を感じている女性も多いんですね~
男より長時間かもしれないから、大変そう。
やはり苦痛を感じている女性も多いんですね~
男より長時間かもしれないから、大変そう。
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URL :
男女とも - 花ばあば - 2013年10月08日 15:11:47
皆さん髪の毛が細くなってくるくるになって雰囲気が変わってきますね。
剛毛の若かりし頃に戻りたい!
でもスタイリングが楽だから今のほうが良いのかな?