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テニスボーイの憂鬱

村上龍をはじめて読んだのが、「テニスボーイの憂鬱」だった。

会社の先輩が、お前テニスやってたよな?じゃこれ読めば。

以来、30年近く。すべての村上龍作品を読み、JMM(Japan Mail Media)のメール配信を受けるようになっている。
ほとんど文庫が占める僕の本棚の中でハードカバー率が高い作家ナンバーワンなのだ。
テニスボーイの憂鬱4

写真はあえて(?)ピンボケ風。テニスボーイの涙だけにピンが来ているのを選びました。
 (撮影が下手なことの言い訳)

さて、この「テニスボーイの憂鬱」。
村上龍作品の中でもっとも読み返した回数が多いかもしれない。
精神的にまいっている時に読み返すことが多い。
成金テニスボーイの能天気さや馬鹿さ加減に救われるとか、
やっぱり男は女性の存在をパワーにしてがんばってしまうとか、
いろいろあるのかもしれないけどここで書きたいのはそういうことではない。

いまネットで検索したら、書評が出てくる出てくる。賛否両論ありますな。
男女の恋愛論や倫理観は、そっちを読んでください。

村上龍さん・・・先生と呼ぶのは違う気がするし、住まいがご近所みたいだから「さん」でお許しを。
村上龍さんは、たぶん極度の凝り性。テニスには相当のめり込んだらしい。
F1やサッカーについてものめり込み、それらの描写も素晴らしいが
テニスはご本人自身がプレーしていたからか、
テニス論というかテニス観には何度読んでも圧倒されるし、読むたびに発見がある。

一部抜粋引用。
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ボクシングにおいては、敵は接触してくる。殴りかかり、抱きついてくる。お前は孤独だ、しかしお前は必要とされている、とボクシングの主張はこうだ。しかしテニスはより冷酷だ。相手は無関係な場所にボールを運ぼうとする。お前は必要ない、お前は消えてしまえ、相手のエースが決まる時、そんな声を聴かねばならないのである。
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卓球やバドミントンもそうだけど、
必ず相手がいないとプレーできないのにテニスは相手に「お前は必要じゃない」と
突き付け合うスポーツだという。
つらい、孤独だ。
ウインブルドンのセンターコートでも、河川敷の整備されていないクレーコートでもこの本質は変わらない。
僕は学生時代、多少テニスをかじった身ではあるけど
ここまで考えたことはなかったなぁ。
実感できるようになったのは、何歳くらいからだったか・・・
仕事であれ、日常であれ、「お前は不要だ」「消えてしまえ」と言われるのは、あまりにつらい。
これがテニスというスポーツの時だからこそ、過酷でも楽しいのは確かだ。

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相手は自分に冷酷の限りをつくしてくる、消えてしまえと通告してくる。だがしかし相手は去ることはないのだ。ネットの向こう側に、必ず彼は立っている。(中略)彼が去るのはゲームが終わった時だ。しかも彼は初めて近寄ってきて、握手をするのだ。
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人生を感じるのは僕だけ?
1960+世代のみなさん、ちゃんと必要とされていますか?
ちゃんとコートに立っていますか?

不要だと言ったり、言われたりするのは部屋の掃除と、テニスの時だけにしましょう。

何年かぶりにラケット握ろうかな。
たぶんオートテニスになるだろうけど。

  wrote by 1961_TM
友人から、テニスボーイの憂鬱に関してメールをもらったので、ここに追記します。

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「テニスボーイ...」を初めて読んだ時に、一番好きになった言葉。
“順番”
(読んだことのある人なら、どの場面で出てきた言葉かわかると思います)

凄く残酷で、凄く現実的な言葉だと思います。

でも、50年と少し生きてきた実感として、いろいろな場面で実感をする言葉です。

山下達郎の歌詞だと、“クラスが違う”と歌われています!
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ありがとうございました。
そうです。順番なんです。
僕も大好きな言葉でした。
でも順番を壊したくなることもあるんですけどね。

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