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村上春樹でノーベル賞考...。

過日、ノーベル文学賞の受賞者が発表された。
ご存知のとおり、オッズで一番だった村上春樹は今年も受賞を逃した。
もちろん、選考のプロセスに関しては一切公表をされていないが、
彼が60歳を過ぎて同賞のセレクションに入って受賞を逃した時に、
マスコミで伝えられた理由が「まだ若い」という事だったと記憶する。
ノーベル賞の基準では“60歳”はまだ若いのである...。

文学賞の数日前に医学・生理学賞を受賞した京都大の山中伸弥教授は、まさに1960+な1962年生まれ。
異例の若さだと思っていたら、
文学賞の受賞者である莫言氏も1960+(この場合の+は生まれ年ではなく年齢ですが...)の1955年生まれで57歳。

おいおい、村上春樹より若いじゃん!

穿った見方をする玉下。
結局は政治か?と思ってしまった。

2010年に中国人の劉氏が平和賞を受賞した際、
中国政府は内政干渉だとノーベル賞委員会を公然と批判している。

以来、両国の関係は今に至るまで悪化が続いている事は様々なメディアで報じられており、
そこにきて今回の文学賞での中国人作家の受賞。

おいおい、ここでバランスを取るのかよ...。

玉下は1979年に村上春樹が「風の歌を聴け」でデビューした時に、
たまたま友人の勧めでこの小説を読んで(大学1年の時)好きになった。
我々より少し上の世代だと『赤頭巾ちゃん気をつけて』で有名な庄司薫氏がいて、
高校の図書館で借りて読んだ時に微妙な世代のズレを感じた。
サリンジャーの『ライ麦畑...』も同様である。
(村上春樹が同作を翻訳しても、そのズレは解消されなかった)

村上春樹はその後、芥川賞とも直木賞とも縁がないまま、
初の本格長編小説『羊をめぐる冒険』で第4回野間文芸新人賞を受賞。
1985年に『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』で第21回谷崎潤一郎賞受賞。
以降、短編と中編と長編を、あるいはシリアスな小説と軽妙なエッセイを、
まるで振幅の大きい振り子の様に書き続けて今日に至る。

玉下が言いたいのは、村上春樹がノーベル賞を受賞しようがしまいが、
彼の文学的な価値と受賞歴は関係ないと思うという事。
もちろん、“ノーベル賞を受賞した作家(作品)だから読んでみよう”という人は沢山いる。
アカデミー賞を受賞したからヒットする映画だってあるし、
カー・オブ・ザ・イヤーを獲ったから売れる車だってある。
だけどそれは本質的な価値とは異なる次元の評価...。

なんだか今回の文学賞のオチに“政治が絡んだ”ように思えてしまったのが、妙に残念なんだよなぁ...。

久しぶりに『カンガルー日和 』に収録されている
「とんがり焼の盛衰」を読みたくなったなぁ。

  wrote by 玉下奴郎 ブログランキング・にほんブログ村へ ブログランキング

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